【レビュー】キリングゲーム(ネタバレあり)
ロバート・デ・ニーロとジョン・トラボルタといえば映画好きなら必ず一度は聞いたことがある名前だと思います。
どちらも40年以上のキャリア(2013年時点)を持っていることから、多くのジャンルの映画に出演してきました。
そんなベテランとも呼べる二人の俳優が初めて共演し、ただただ殺し合いを繰り広げるという作品が『キングゲーム』です。
ストーリー
アメリカ、アパラチア山脈に小屋を構える元アメリカ軍人のベンジャミンは、元セルビア兵士のコバチという男と出会う。二人は意気投合し、山へ狩りに出ることになった。
しかし、突然コバチが矢を放ってきたことから、ベンジャミンは命懸けの戦闘を強いられることとなる。
感想
謳い文句にあるロバート・デ・ニーロとジョン・トラボルタの初共演に釣られて見たこの作品。正直、見る前は「この2人がいれば基本面白くなるでしょ」と、考えていました。
しかし、その期待は満たされることなく終わることに……
たしかに二人の共演要素はそこまで悪くはないんですよ。
前半では陽気に話していた二人が後半になってから死闘を繰り広げる温度差は良かったと思いますし、アクションシーンも結構しっかりしていて見ごたえもありましたからね。
なにより二人の俳優の存在感は凄まじく、酒を飲みながら会話をしているだけでもそれなりに目を引いていました。
ただ、問題があったとすれば二人の戦闘シーンの描き方であったと思います。
とにかくメリハリが良すぎるんですよ。
戦闘が始まってすぐの内は、コバチ(トラボルタ)から仕掛けたこともあって彼の方が優勢。
しかし、機転を利かしたベンジャミン(デ・ニーロ)の攻撃によって形勢逆転することに。
かと思ったらコバチが力で制する、というようにまるでターン制のように攻守が入れ替わるんですね。
で、たいていその原因となっているのが慢心。
「さっきまで有利だったのにどうした?」と煽っていたら逆転されるというのを繰り返しやらかしてしまうのは、二人がマヌケにしか思えませんでした。学習能力がないのかと。
どちらかの株を落とすようなことをさせないために、あえて同格の戦いをさせたのかもしれませんが、そのせいでどちらも株を落としてしまうという本末転倒な結果となっていたように思えました。
そんな戦闘シーンのメリハリはイマイチに思えたわけですが、やっていること自体は容赦ないことをしていて楽しめました。
例えばコバチは弓で射抜いたベンジャミンの足に糸を通して宙吊りにするというえげつないことを、ベンジャミンは矢で射抜いたコバチの頬にレモン+塩の水を灌ぐというえげつないことをしていました。
こうした攻防の中身は非常にインパクトが強いものが多く、軍人の相手を痛めつける技術が見られて面白かったですね。
本作において、二人の殺し合いが始まるきっかけとなったのが、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争に介入したNATOによってセルビア人が虐殺されたことでした。
ただ、それはセルビア人たちが罪のないボシュニャク人たちを虐殺したからであって、因果応報でもありました。
そんな不毛な争いの延長戦が本作での争いであったわけですね。
そうして見ると、ターン制のように交互に相手を痛めつけたり、両方生きたまま決着が着いたりするのは自然な流れだったのかもしれません。
お互いがお互いを痛めつけあうことで、自らを許すことにも繋がっており、二人が争い始めるきっかけだけの設定ではあったもののそれなりに効果的な設定であったように思えました。
ロバート・デ・ニーロとジョン・トラボルタによる初共演作であった本作。
主演二人がほぼ出ずっぱりということもあって、共演においては満足のいく内容であったと思います。
もし再び二人が共演することがあれば、今度はドラマ要素の強い作品で見てみたいですね。