スキマ時間 DE 映画レビュー

【レビュー】ジオディザスター(ネタバレあり)

ディザスタームービー(災害映画)といえば、一定期間ごとに映画化されている印象があります。
とはいえ、災害には限りがあります。
そんな限りある災害をありったけ詰め込んだような映画『ジオストーム』が2017年には公開されました。
その同年、まったく同じようなネタで勝負した映画がありました。
それが今回レビューする『ジオディザスター』です。

f:id:sparetime-moviereview:20201103015536j:plain

ストーリー

宇宙から飛来した暗黒物質ダークマター”が地球を貫通した。
その影響により、地球では天変地異が起こり始める。
ロサンゼルスに住むメイソン一家は、突然の大地震に巻き込まれ離散してしまう。
彼らはなんとかして合流しようとするが、マグマや津波、台風などの災害が襲い掛かり窮地へと追いやられていく。

感想

『シャークネード』シリーズで有名なアサイラム製作の映画であるこの作品。
そうしたこともあって、ぶっ飛んだ展開を期待しながら鑑賞しました。
しかしどうしたことか、これはただのディザスタームービーでした。
設定こそ「突然宇宙から飛来した暗黒物質ダークマター)によって地球に穴が開いてしまった」というぶっ飛んだものなのですが、それが引き起こすのは普通の災害のみ。地震や雷、津波など、バリエーションこそありますが、B級映画特有のガッカリCGのせいもあってもの足りなかったです。
主要人物であるメイソン一家も特に個性的な人たちというわけでもありません。
反抗期の息子と父親、娘2人と新しい母親の2つの視点から、合流するまでを描いていました。

そんなアサイラム映画に求めていたアレコレが足りていなかったように思えたこの作品ですが、一番ダメだったのは犠牲者を出さなかったことでしょう。
厳密には2,3人犠牲者は出ているのですが、その描写があまりにも普通すぎるんですよね。
画面が切り替わったら突然死んでいたり、「ここに残る」と言ってそのままフェードアウトであったりとインパクトがまったくありませんでした。
『シャークネード』なんかはそこら辺が悪趣味ながらもユーモアに富んでいて面白さがあったと思います。
次々に人を殺せとは言いませんが、特に深掘りもしないキャラクターを丁寧な扱いで殺すのはなにか惜しい気がしました。

さて、そんないいとこなしの作品に思えますが、楽しみ方としてはやはりツッコミどころを探すことでしょう。
先ほども少し触れたB級映画特有のガッカリCGを堪能するのはもちろんのこと、CGを使ったがために起こる矛盾……例えばこれから災害が起こるであろう方向にゆったりと向かっていく車がいたりと、見ていると「おや?」と思わずにはいられないシーンが時折見られるんですね。
さらに、室内や郊外でのシーンが多かったり、許可を取っていなさそうな道路を走行するシーンがあったりと、低予算のための尽力があちこちで見られるのも面白いところでした。(たまに実際の映像っぽいものを使っていたのも低予算のためかも?)
そんな粗探しにも近いツッコミではありますが、そうして見ると楽しいのも事実。
これもまた楽しみ方のひとつだと思います。


ディザスタームービーとしての王道展開は押さえていたものの、その普通すぎる内容にもの足りなさがあった本作。
やはりアサイラム映画にはぶっ飛んだ作品を作ってもらいたいと改めて思う作品でした。