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【レビュー】ディープ・インパクト

「1999年7の月に人類が滅亡する」
ノストラダムスの大予言は世界を震撼させました。
それと同時に訪れたのが「世界が滅亡する」ことをテーマにした作品たちです。
CG技術の発展もあり、そのブーム(?)は、映画界でも巻き起こりました。
そんなブームにより大ヒットを記録したディザスタームービーが、今回レビューする『ディープ・インパクト』です。

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ストーリー

ある夜、天文学部に所属するレオ・ビーダーマンは、彗星を発見する。
その報告を聞いたウルフ博士はあることに気づくがそれを世間に公表する前に事故死をしてしまう。

それから一年後。
テレビ局に勤めるジェニーは、財務長官が突然辞任した理由を探っていた。
それがきっかけとなり彼女は政府がある秘密を抱えていることを知る。
その秘密とは、1年後に地球に彗星が衝突するということであった。

感想

個人的にディザスタームービーは大好きです。
そのため、これまで有名なものからマイナーなものまでそこそこな数見てきました。(もともとそんなに多いジャンルでもないですが)
しかし、超メジャーとも呼べるこの作品は見たことがなかったんですね。

そんな本作の感想ですが、ディザスタームービーのお手本とも言える素晴らしい出来ばえでした。
展開としてはディザスタームービーの金字塔である『アルマゲドン』と似たもので、地球に彗星がぶつかることが判明したことから人類が決断を迫られるというもの。(『アルマゲドン』と比較しましたが、本作の方が2ヶ月ほど公開が早いです)
ただ『アルマゲドン』と大きく違うのが彗星衝突が免れられないということなんですね。
地球の人々は、彗星に直接爆弾を仕掛けたり、ミサイルでの撃墜を試みたりするのですが上手くいかず……
むしろ、彗星が2つに割れてより状況が悪くなるという非情な現実が衝撃的でした。

しかし、これこそが本作の真髄だと思います。
失敗に終わることにより、『アルマゲドン』では傍観者でしかなかった地球の人々もまた選択を余儀なくされ、それだけドラマが生まれていたわけですからね。
最期の時を家族と過ごすジェニー、再会したガールフレンドと逃げ場を探すビーダーマンらの姿は『アルマゲドン』以上に「世界の終焉が迫っている」感がありました。

で、個人的にグッと来たのが人々の取る未来へと希望をつなげようとする姿でした。
例えば、ビーダーマンら若者を見守る親たちの思いであったり、ジェニーが子を持つ同僚にヘリの席を明け渡したりといったシーンです。
とりわけ感動的であったのが、やはり宇宙にいるフィッシュたちの選択。
自らの命を賭けて少しでも地球への被害を少なくしようとする自己犠牲には心打たれました。
そうした感動的なテーマは『アルマゲドン』と共通していると言えますね。

そうした"人"の物語をより魅力的にしていたのが俳優の存在です。
アカデミー賞俳優のロバート・デュバルを初め、旬の女優ティア・レオーニ、今やスターとなったイライジャ・ウッド、重鎮モーガン・フリーマンなど、若者からベテランまで、たしかな演技力を持った俳優が起用されていました。
それだけに、地球の終焉が迫る危機的状況に説得力が増し、より感動が高まるという利点があったんですね。
俳優たちの演技により、各登場人物にしっかりと息が吹き込まれていたと思います。

そんな感動的なシーンを盛り立てるのが、CGをふんだんに使ったシーンの数々でしょう。
フィッシュらが宇宙で行うミッションの臨場感はもちろんのこと、終盤の彗星衝突の恐怖を感じさせる迫力はただただ素晴らしいです。
1990年代の作品とは思えない「あり得るかも」と思わせるシーンをCG技術によって盛り上げていたのは本作の面白さのひとつであったと言えるでしょう。


地球滅亡の恐ろしさを見せつつも、その状況から生き残ろうとする人々の姿を力強く描いていた本作。
悲劇的でありながらも希望を感じさせる内容は感動的でした。
そのは、『アルマゲドン』を見返したくなりました。