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【レビュー】BATS 蝙蝠地獄(ネタバレあり)

コウモリとは昔から恐怖の対象として描かれることが多い存在です。
暗闇に潜み、人間を襲うという印象があるからでしょうか。
しかし、人を襲うコウモリはごく一部であるのが事実です。(少なくとも日本では人を襲うコウモリはいないとされています)
そんなコウモリを狂暴に描いたコウモリパニックムービーが、今回レビューする『BATS 蝙蝠地獄』です。

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ストーリー

テキサス州の田舎町ギャラップ。
そこで一組のカップルがコウモリに襲われ惨殺されるという事件が起こる。
コウモリの生体を研究するシーラは、事件を受けて死体を確認するが、本来なら
その種のコウモリは人を襲うハズがなかった。
彼女はそこで政府のある実験により、肉食となり凶暴性を増したコウモリがウイルスによって仲間を増やしていることを知る。
シーラは相棒のジミーや現地の保安官エメットらと協力し、コウモリの巣を探し始める。

感想

モンスターパニック映画といえば、たいてい何か突飛な設定がつきものです。
巨大であったり、禍々しい見た目であったり、突然変異染みた設定が多い印象があります。
しかし、本作は「攻撃性を増したコウモリが雑食になって人間を襲うようになった」というインパクトのあまりない設定でした。
そのため期待薄で鑑賞。冒頭、犠牲となる若いカップルが襲われるシーンで「カメラ動かしておけば臨場感でるだろ」感溢れる演出をしていたこともあって駄作だと決めつけて見ていました。
そうしたらどうでしょう、意外と面白いじゃないですか。
たしかにハードルが下がりまくってたのでそれに対して「予想より悪くない」という評価なのですが、楽しめることには楽しめました。

おそらく良かったのは奇を衒わないストーリー。
コウモリの変異を知ったキャスパー博士が、それを止めるためにコウモリたちの動向を追うというのは分かりやすいパニックムービーの王道をいっていました。
また、その合間合間に入るコウモリによる襲撃シーンも程よい刺激に。
車内の閉塞空間での襲撃、町をまるごと巻き込んだ襲撃、コウモリの巣の中での襲撃と、ロケーションがそれぞれ異なっていたのも楽しめた点でした。

もう一つストーリーで面白かったのが、現代に通ずるものがあったことです。
コウモリ、ウイルスというワードは現代のコロナ禍を連想とさせます。
ただ、このウイルスはあくまでコウモリ間でのものなのでそこまで共通点はありません。むしろ、共通点があったのはそのコウモリの存在を知ったギャロップの町の人たちの対応です。
作中、コウモリの襲撃があることを知った市長は町の人々に自宅待機を言い渡します。
しかし、町の人々はそれを無視。結果、コウモリの餌食になる人が多数という結果となっていました。
ウイルスであろうがなかろうが、人は最悪のシナリオが実際に起きるまでは「大丈夫だろう」と思ってしまうもの。
そんな現代にも通ずるパニックシーンは、なんだか印象に残りました。

本作において意外と楽しめたもう一つの要素が、CGのクオリティが思いの外、良かったことです。
本作ではSFXなる技術(ざっくり言うと現在主流となっているCG技術VFXの走りで、現場でCG処理を施す特撮に近い感じな技術らしいです)が用いられていました。
醜いコウモリの顔のアップであったり、大量のコウモリが襲い来るシーンであったりをリアルに表現できるのは、作風ともあっており成功であったと言えるでしょう。
また、爆発シーンなんかも臨場感があり「凶暴化したコウモリが人間に襲い掛かる」といういかにもB級映画な設定とは裏腹の面白さを生み出していたと思います。
おそらく今ではあまり見ることのできないSFX。
そのVFXとは異なる技術をなんとなーく感じられるのが面白かったですね。


あまり類を見ない、コウモリパニックを見せていた本作。
ハードルを上げずに見るとなかなか楽しめる作品であったと思います。
続編もあるらしく、どんな内容なのか気になるくらいには楽しめました。