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【ネタバレあり・レビュー】16ブロック | ちょっと変わったブルース・ウィリスが見れるアクション作!

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ストーリー

夜勤明けの刑事ジャックは、上司からある任務を押し付けられる。
それは、逮捕されていたエディを16ブロック先の裁判所へ連れていくという簡単なものであった。
しかしその道中、エディは何者かに命を狙われる。
ジャックの機転もあり難を逃れた二人は、ジャックの元相棒であるフランクと合流をする。
だが、フランクこそがエディによる不利な証言を黙殺しようとしている汚職刑事であった。

ストーリー

ブルース・ウィリスといえば丸刈りというイメージがすっかり染みついてきていた昨今。
それだけに、今作の髪もあるしヒゲも生やしているブルースというのはなり新鮮味がありました。
そんなレアなブルースは見た目だけではありません。中身もかなり変わっています。
二日酔いで膝を痛めていて体力が落ちているボロボロのブルース・ウィリスなんておそらく本作でくらいしか見れないでしょう。
そんなボロボロな姿を見せているだけに、本作のブルースは2006年時の姿なのにこれまで見たどのブルースよりも年寄り臭く感じられました。
とはいえ、本作の1年後に『ダイ・ハード4.0』でバリバリのアクションをしてもいるため、全ては演技。
だらしないヨレヨレな体で、常に辛そうな顔をしつつ行動をしている役作りと演技は素晴らしいものでした。
もちろん、ただダサい男で終わらないのもブルースの良さ。
刑事の勘で的確な立ち回りを見せていたり、いざという時に物おじしないカッコよさはブルースの演じてきたキャラクターに共通するものがあったと思います。

そんなブルース演じるボロボロの刑事ジャックが、ある事件の証人であるエディを裁判所までの16ブロック護送するのが本作のストーリーでした。
まず、敵が汚職警察という設定は良かったと思います。
本作の見どころのひとつでもあるニューヨークの街中を舞台にした逃走劇というのが、警察が敵であれば違和感なく成立しますからね。
ジャック側も汚職警察側も「警察だ!」と言っておけばやりたい放題できるというのは、街中を戦場とするのにはうってつけであったと思います。

ジャックと共に逃走劇を繰り広げる、エディのキャラクターも見どころのひとつとなっていました。
おしゃべりで常に前向きではあるものの、恐怖や怒りを内に秘めているという人間味は好感が持てるキャラクターでした。
ジャックとの掛け合いも良く、初めこそエディが一方通行に話すだけであった関係が、窮地を脱していくごとに距離が縮まっていくのはよくある展開ながらも微笑ましいです。
序盤の方でエディの出した「バス停で待っている老婆と親友と理想の女性の誰を車に乗せるのか」に対する答えを別れ際に答えるのも二人の距離が縮まったことを表しているようでした。
それだけに、裁判所まで二人で行かなかったのは少しモヤっとしたのも事実です。
ラストシーンもエディは何故か写真だけの登場でしたし、解決後の喜びを分かち合う二人の姿が見られなかったのはなんだか少しスッキリしない終わり方でした。

そのジャックとエディとの関係で重要となるのが「人は変われるか」という問いかけでした。
これに対して、ジャックは「変わることはできない」と断言し、犯罪者は犯罪者のままだと言っていました。
しかし、終盤になると分かることですが、このセリフは自分に言い聞かせている言葉でもあるんでしょうね。
彼自身が汚職警察の一員として行動しており、それを悪と分かっていながらも言い出せずにいたわけですから。
しかし、エディの前向きかつ変わろうと努力をする姿勢を見て、彼自身も変わるように。
最終的に、自身の罪と向き合うという流れはシンプルながらも受け入れやすいドラマを生み出していました。
あくまでアクションメインで、邪魔をしないように上手く随所で消化していたと思います。


ブルース・ウィリス主演のアクション作であった本作。
ダイ・ハード』シリーズと比べると地味なアクションではありましたが、ブルースの新鮮なキャラクター像を生み出したという意味では成功であったと思います。(見た目を含めて)
また髪の毛ありなブルースを見てみたいものですね。