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【ネタバレあり・レビュー】禁断の惑星

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スター・ウォーズ』の1作目(のちのエピソード4)からおよそ20年も前(1978年-1956年=22年前)のSFということでそこまで期待していなかったこの作品。
見て驚き、凄いしっかりしていました。
惑星アルテア4を舞台に、ロボットや超最先端技術、謎の生物などが登場するのですが、どれも56年に作ったとは思えないクオリティを保っていました。
そんなクオリティの素晴らしさについての感想を書いていこうと思います。

作品概要

原題:Forbidden Planet
製作年:1956年(日本公開:1956年)

監督:フレッド・M・ウィルコック
脚本:シリル・ヒューム
主演:ウォルター・ピジョン

ストーリー

宇宙船C-57-Dのキャプテン、アダムスが率いるクルーらは、20年前に惑星"アルテア4"へ向かったものの、連絡を絶った仲間を探索・救助するため旅をしていた。
"アルテア4"にたどり着いた彼らは、星での唯一の生き残りモービアス博士と、彼の娘アルティラと出会う。
彼は、仲間たちが不慮の事故などにより仲間たちは全滅したと告げる。
しかし、モービアス博士は"アルテア4"のある秘密を隠していた。

宇宙にロボット怪物まで!SFロマンを詰め込んだ傑作!

これぞSF!素敵な世界観

「SFといったら宇宙」
そのイメージを定着させたのはおそらく『スタートレック』や『スター・ウォーズ』でしょう。
ただ、この作品はその先駆けでもあります。偉大な先人なのです。

そんな本作は宇宙を航行する宇宙船C-57-Dと、エレクトロニックなBGMで始まります。
個人的にはこれだけでSFロマン心をくすぐられるようでした。視覚的にも聴覚的にもSFらしさが感じられましたからね。
そのバッチリな掴みから展開されるのが、惑星"アルテア4"を舞台とした物語。
宇宙船の着陸から、惑星の景観、クルーらが持っている光線銃などなど、CGを使わない中での苦心が見られるSF要素は常に楽しませてくれました。

そうしたSF要素の中でも心を掴んだのが、ロビー・ザ・ロボットでした。
この二足歩行バケツ型ロボットは見た目こそポンコツそうなのですが、実は優秀。
そのギャップと、ロボットらしい言動、それでいてちょっとしたユーモアを感じさせるキャラクター性は愛着が湧きました。
作中、大きな鍵を握るわけでもないのですが、サポート役に徹しているというロボットらしさもあって最も記憶に残るキャラクターでした。

こうした世界観を構築していたことにより、CGが使えなくても面白いSFを作り上げていたのが個人的には素敵だったと思いますね。

ワクワクの最先端技術

この作品でさらに世界観をより良くしていたのが、クレール人の最先端技術でした。
IQ増幅機や思考の3D投影機、エネルギー観測機、etc..
聞いているだけでもワクワクしてしまうような設定の機会が次々に登場します。
さらに凄いのがビジュアル面。
本当にそうした機械があるかのような動作を見せている作り込みは、これまたワクワクを促進させていました。
極めつけはその動力源となる施設の巨大さ。
一体、どのようにして作ったのか分からないくらい巨大かつ作り込まれた動力源となる施設はまさに圧巻の一言。
作品の世界観に引き込まれ没頭してしまう見事な美術でした。

怪物を生み出すのは人間

作中、最も謎となるのが謎の怪物の正体です。
序盤から中盤にかけてはモービアス博士の噂話としてしか登場しませんが、終盤、その怪物が実在していたことが判明します。
この"イドの怪物"がまたいい味を出していました。
巨大でいて姿は見えない、チラリと見えるその輪郭はまさに怪物と呼ぶにふさわしい雄々しさ。名前負けしていないヤツでした。

初め私は、姿が見えない怪物という設定は、経費削減のために作られたものだと思っていました。(実際、その考えはあったのかもしれません)
しかし、その理由付けがされているのもこの作品の素晴らしい所だと思います。
"イドの怪物"は、モービアス博士の生み出した潜在意識の怪物とされていたんですね。
先人であるクレール人たちもこの潜在意識の怪物により自滅したとされており、「あまりに発展しすぎた文明は滅びる」という展開はなんだかバベルの塔の話を思わせる設定でした。
そんな神聖な雰囲気も漂わせていただけに、なんだかより壮大で人の真理をついた内容のように思えましたね。